当院は浄土宗鎮西派に属しており、大恩寺の塔頭の―つであります。開山は昌誉冏運大徳で、永正3年(1506)の創立です。創建開基は、伊藤長四郎となっていますが、これはおそらく大恩寺の寺領庄屋を務めた人かと思われます。本尊は阿弥陀如来立像で、お顔はやさしく、信徒の誰もがその事を口にします。
3世伝誉円問大徳という人が、60才の頃本堂を再建されたので、中興開山と称せられています。当時は、現在の位置より東南の方向の、参道を隔てた向こう側にありました。
それは廃寺となった心光院の場所でした。伝誉大徳は、元禄7年(1694)80余歳で示寂されました。27世孝融上人のとき、養修院があった跡地へ、現在の本堂、庫裡を移築し、昭和44年入仏式を奉修し、稚児行列なども行われ、本山から中興開山の名を賜わりました。
もとの境内には弘法堂があり、霊験あらたかなため、お参りが多かったのですが、風雪による傷みがひどく、信徒の浄財により、御像の修復が加えられ、本堂内に安置されました。旧3月21日の命日には、参詣者にお接待が続けられています。
「延宝9年塔頭収納米書上」によれば、芸雲院として載せられ、米5俵1斗4升を収納したなどと書かれています。門前の山桜は、他にさきがけて咲き見事です。
みと歴史散歩:❷古道に沿って 平成12年2月発行より